健康面や温室効果ガスの削減、世界的なSDGsなどへの取り組みとして、日本でも有機農業が積極的に進められています。
世界の有機食品市場は欧米を中心に年々拡大していて、20年間で約7倍拡大したそうです。
日本でも有機農業面積が10年間で4割ほど拡大しているみたいです。
有機農業により、自然循環機能が増え、環境負荷が減ったり、地球温暖化抑制に繋がるとかいう理由で、国の方針でも全面的に有機農業者を増やすような方向性が見えたりします。。
個人的にはちょっとこれには疑問があったりします。
有機農業=健康の直結っていうのは噛み砕くとかなり語弊があるのですが、これはまた後ほど書くとしまして、、
有機農業は単位面積当たりの収量が、普通の栽培に比べて低いのが一般的ですし基本的に土で栽培しなければいけないので、かなり経験を積んだ栽培のプロでも難しいと言われたりもします。
栽培を積んだプロということは、若い農業者が育っていない日本の現状にマッチしていないこと。食料自給率が40%前後であり(このまま趨勢でいくと更に下がる)、国内生産率を高めなければいけない日本において、収量が担保できない、有機農業を漠然と進める(農業者側が有機農業の勉強をもっとしないといけない)のはまあまあ危険だと個人的に感じます(ちょっと極端に言ってます)。
そして有機農業は環境に良いのか問題。
実はこれも一概に有機農業は環境に良いとは言えないと言われたりもしています(長期的にみると)。
有機農業では、化石燃料を原料とした化成肥料や資材を使わないので、結果的に温室効果ガスの削減に繋がっているという面や、
例えばCO2やメタンガスを含む糞や植物残渣を肥料として土壌に還元し、作物を育てる。
育った作物は大気中のCO2を吸収し光合成を行う。
そして土壌中の根や微生物の呼吸や分解により、再び大気にCO2が放出される。
といった炭素の流れがあります。
この循環の中で、土壌中に保持できる炭素量が多いほど、地上の温室効果ガスは少なくなると言えるので、結果的に地球温暖化に貢献しているといったイメージです。ざっくりですが。
ただ、長期的に見て本当に環境にいいのかという視点で見ると、、、
有機栽培を100年くらい続けた場合をシミュレーションした欧州の研究所の文献によると、
確かに、開始から40.50年ほどは土壌の炭素保持力が優位なので、温室効果ガス抑制に効果がある。しかし、土壌保持力は永続しないので、そのうちに無力化してしまうということです。
ということは、短期的な温室効果ガス抑制のオプションにはなっても、長期的にはほぼ意味が無いので、、、、、、やっぱり化石燃料なのど消費量を抑えましょうというシンプルな答えに辿り着きます。。w
ちなみに、有機肥料を使うことで、化学的な無機物の地下への流亡を抑えることで、地下汚染を防げるという話もありますが、、、
有機肥料には原則上限が設けられていないので、例えば必要以上に畑に有機肥料を撒いたとします。
そうすると微生物に分解された有機質が無機物に変換され(無機肥料と同義)、地下に流亡しますので、汚染に繋がります。
ながながと書きましたが、結局は農業者も勉強が必要だし、国民全体も知識を持つことが必要だということだと思います。
スーパーで買い物をする際も、有機JASマークの意味はなんだろうとか、エコファーマーってなんだろうとか気にするだけでも違うなぁと農業を始めてから感じるようになりました。