【まえがき】
青森県で2020年から農業を始めた髙田貴寛です。
TRYFARMという農場から、自分の名刺代わりとも言える最高のトマトを日本全国、世界各国に届けるべく文字通り農業一色の生活を送っております。
名刺代わりになるモノづくりがしたくて30歳前後で農業の生産現場に飛び込みましたが、農業の魅力や未だ見ぬ可能性の大きさに、『もっと挑戦したい!』という想いが日に日に大きくなっています。
しかし、基盤も資産もないゼロからのスタートですので、地道に道を切り開いている最中です。
『あと10年早く農業の魅力、可能性に触れたかった』そんな想いが頭をよぎることもあります。
これから先、私よりも若い世代で農業界、特に生産現場に興味を持つ人材が増え、農業の底上げ、業界全体の推進に少しでも貢献できるよう、自らの原体験から生まれたことを忌憚なくアウトプットしていきます。
自らのビジョンや方向性の整理をする意味も込めていますので、時に表現が相応しくない事も有るかもしれませんが、農業を否定したり、現場で汗を流す生産者など何かを批判する意図は無いことを予め記しておきます。
【本編】
今日は、農業者・生産者としての現状の整理や、今後経営者としてどういった舵取りをしていくべきなのか、そういった事を思考する中で出てきたことをアウトプットしていきたいと思います。
~現状~
私は、IoT技術を取り入れながらトマトの生産を行っています。
今年が栽培初年度の1年生です。
トマト栽培の方向性をざっくり分けると、
①味・品質は度外視で収穫量を重視
②味・品質を重視し収穫量は度外視
③味・品質・収穫量を平均的に求める
と分けることができるかと思います。
そして、私は現在②の方向に舵を切っています。
そして、まだまだ課題はあるものの、年間を通して、トップレベルのクオリティを達成できたと感じています。
試験的にジュースやジャムなどの加工品を試作してみましたが、こちらもある側面から見ると全国的にもかなり良いレベルと言ってもいいくらいの商品が作れそうです。
※品質がいいからと言って需要があるってことでは無いので日々精進です。
そして、これら品質を商品の強み・武器にしながら、就農までの道のり(物語性)や四六時中栽培に尽くしている日々(想い)などに付加価値を見出そうとこれまで進んできました。
~現状の深堀り~
上記に記したことは、自慢などの意味で書いたわけではありません。
全く異業種から参入した就農1年目の従業員もいない資産も無い、個人事業主がトマト栽培をした結果を事実として書きました。。
そして、就農するまでの準備や、初期投資にかかる数千万円の予算を確保するまでの道のり、事業のすべてを1人で切り盛りする大変さ(3~4人は従業員が必要な規模)は厳しくもありました。
実際に『名刺代わりの商品を作る』『いい商品を作る』という想いの強さが推進力になり、支えられて、これまで進んできました。
しかし、少し視点を変えて『トマトを生産する工程』という一点にフォーカスした時に見えたことがあります。
それは、トマトを生産するほぼ全ての工程は、『人間的』ではなく『機械的』に遂行しているということです。
そこには、「想いの強さ」や「これまでの物語」、「熱意」のようなものは間接的にはプラスの効果があったとしても、直接的にはほとんど関係ないと私は整理しました。
①トマトの品質を上げるための情報をインプットする
②インプットした情報を数字化して栽培設計に落とし込む
③IoT技術を屈指しながら設計通りに栽培を行う
④多少の外乱や生育状態を見ながら微調整をする(多少人間的な介入)
⑤微調整を数値化して栽培設計にフィードバックする
このようにトマトの品質を左右する事柄は極めて機械的に考えることができます。その他、収穫、誘引、芽かきなどの一般作業も淡々と機械的にこなします。
そして、機械的にこなした結果、前段で記したような品質に辿り着きました。
そして、その品質を機械的に達成するための設計図は日に日に完成形に近づいており、今後もブラッシュアップを続けていきます。
~だから何?①~
かなり回りくどくなってしまいました。今後文章を書くスキルを上げていくのでご容赦ください笑
仮に、前段の設計図を全国のトマト生産者に配ったら(需要の有無はさておき)、高い確率で私が生産したトマトに近いものができると思います(各地それぞれの気候の影響は多少受けると思うので環境面も整備した上で)。
かなり当たり前のことを言っていますが、
何が言いたいかというと、『味や品質は機械的に操作できる』ということです。
イコール、味を求める栽培、収穫量を増やす栽培が機械的に容易に達成できる未来はすぐそこにきている。
味や品質で差別化することは間もなく不可能になるということです(劇的に差別化できるような特性を持った品種ができて独占市場ができるとかなら別ですが)。
更に、よく語られる「想い」や「物語性」のようなものは、機械的な業務には付加しにくくなると考える(大衆車の生産や価値に想いは基本的に付加されていない)、農産物への直接的な付加価値としては機能しなくなると考えています。
~まとめ~
以上を踏まえて、私自身がこれまで活動してきたことや、考えていたビジョンは、「生き残っていける戦略なのか」「今後の農業が進んでいく方向性とマッチしているか」「農業界の発展に寄与しているか」をまとめてみます。
近い将来、生産現場のほぼ全ての業務は機械に代替されていると考える。そうすると、今現在自分が想いや物語性、熱意といったものを付加しながら生産している行為は、中長期的な未来の方向とズレた行為をしているのでは無いかと考える事もできる。今後の農業において人間特有の想いや熱意または人特有の特性といったものを付加する先は生産という機械的な所ではなく、新たな(何か)別のところに向ける必要があると整理した(中長期的なアクションを模索中)。
語弊を恐れずに言いますが、生産という機械に代替できる仕事に人がいつまでもしがみつき、そこに想いや熱意といったものをウリにし続けた時に、少なからず想いや熱意をウリにした生産に魅力を感じて、生産現場に参入しくる新規就農者もいると思います。そこには少なからず税金が投下されたりもします。しかし前述したとおり間もなく多くの生産現場に人の手は不要になっていくと思います。そして統計でもある通り多くの新規就農者は道半ばで離農してしまいます。これは農業の未来にとって本来必要な割くべき予算が無意味な所に流入してしまっているという見方もできると思います。
少し極端な書き方になってしまいましたが、私は影響力も力も無い生産者ではありますが、広い視野で考えると、私が今後どのようなアクションを取っていくかは、今後の農業界の発展を間接的に阻害してしまう可能性もあるということを強く認識して、今後どのような視点を持ち、どのような所にアクションを取っていくかを今一度整理しなければならないと思っています。
最後のまとめが締まりなくだらだらと一筆書きをしてしまったので、色々配慮の足りない文章になってしまいましたが、頭の中にある事をストレートに書いてみました。
また、農業の魅力である、自然と人間の触れ合いや営み、のような役割については、今回完全に除外して考察しております。
農業に対する人間の関与、機械化の推進については、各々意見が分かれることだと思いますので、ぜひ多くの方に読んでいただいて、意見交換などできたら最高です(僕は素人同然なのでなんもわかってないけど笑)!
とにかく農業はとても良いですよ!
以上ですw